ブログ

系統用蓄電池の農地転用とは?必要な許可・手続き・注意点を解説

系統用蓄電池を農地へ設置したいものの、「農地転用は必要なのか」「どのような許可や手続きが必要なのか」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
系統用蓄電池を農地へ設置する場合は、農地法に基づく農地転用許可が必要となるケースが多く、土地の条件によっては農振除外や都市計画法などへの対応も必要になります。
本記事では、系統用蓄電池を農地へ設置する際に必要な許可や手続き、注意点について分かりやすく説明します。

1. 系統用蓄電池を農地へ設置する場合は農地転用が必要?

系統用蓄電池は、送配電網へ直接接続し、充放電によって電力需給のバランスを調整する大型蓄電設備です。太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、電力系統を安定的に運用するための重要な設備として導入が進んでいます。
系統用蓄電池には、蓄電池コンテナやPCS、受変電設備のほか、保守や点検のため一定規模の敷地が必要となることから、遊休農地や耕作放棄地が候補となるケースがあります。
一方で、農地を農業以外の用途で利用する場合は、農地法に基づく農地転用許可が必要です。土地の条件によっては、農振除外や都市計画法などへの対応も必要となります。

2. 系統用蓄電池を農地に設置するために必要な許可

農地へ系統用蓄電池を設置する場合は、土地の区分や事業形態に応じて必要な手続きが異なります。対象地が農用地区域に指定されている場合は農振除外が必要となることがあり、その後、土地の利用方法に応じて農地法第4条または第5条の許可を取得します。

農振除外(農用地区域の場合)

設置予定地が農業振興地域内の農用地区域、いわゆる青地にある場合は、農地転用の前に農振除外を申請し、農用地区域からの除外が認められる必要があります。農用地区域は農業利用を優先する土地として位置付けられており、農業以外の用途への利用は原則として認められていません。
審査では、農業振興への影響や代替地の有無などが確認されます。受付時期や審査期間は自治体によって異なり、手続きに半年以上かかる場合もあるため、候補地を選定した段階で自治体へ相談しておくことが重要です。

農地法第4条許可(自己所有の場合)

土地所有者が自ら農地を転用して系統用蓄電池を設置する場合は、農地法第4条の許可を取得します。事業計画や土地利用計画、周辺農地への影響などを踏まえて審査が行われ、許可を受ける前に工事へ着手することはできません。

農地法第5条許可(売買・賃借を伴う場合)

事業者が農地を購入または賃借して系統用蓄電池を設置する場合は、農地法第5条の許可が必要です。
第5条では、農地転用だけでなく、売買や賃貸借など土地の権利移転についても審査されます。土地の売買契約や賃貸借契約を先行させる場合は、農地転用許可を取得できなかった場合の取扱いを契約書に定めておくことが重要です。契約を締結する前に農業委員会へ相談し、必要書類や申請条件を確認しておくと、その後の手続きを進めやすくなります。

3. 系統用蓄電池の農地転用手続きの流れ

※出典:農林水産省「農地転用の手続」

上図は、農地法に基づく農地転用許可の基本的な手続きの流れを示したものです。系統用蓄電池事業では、この手続きに加えて、設備計画や系統連系、関係法令に基づく許認可についても並行して検討する必要があります。
土地を取得・契約した後に許認可や系統連系の課題が判明すると、計画の見直しが必要になる場合があります。そのため、候補地の調査段階から関係機関と相談しながら進めることが重要です。

候補地の権利関係と農地区分の確認

※出典:農林水産省「農業振興地域制度及び農地転用許可制度の概要」

候補地が決まったら、まず土地の所有者や権利関係、農地区分を確認します。農地は、第1種農地、第2種農地、第3種農地などに区分されており、農地区分によって転用できる条件や許可基準が異なります。また、農業振興地域内農用地区域(青地)に指定されている場合は、農地転用許可の前に農振除外が必要となります。計画を進める前に土地の条件を確認しておくことで、その後の手続きを円滑に進めることができます。

設備計画と土地条件の確認

候補地の面積や形状、接道状況、搬入経路などを確認し、設備計画との整合性を確認します。系統用蓄電池は設備規模が大きくなることが多いため、十分な設置スペースを確保できるかを事前に検討することが重要です。
また、造成工事の有無や排水計画なども、この段階であわせて整理しておくことで、その後の設計や申請をスムーズに進めることができます。

系統連系の可能性の確認

設備計画と並行して、一般送配電事業者へ接続検討を申し込みます。接続検討では、接続可能容量、必要な工事の内容、工事費負担金、連系可能時期などが示されます。系統用蓄電池では、土地条件が良好であっても、接続検討の結果によって事業性が大きく変わります。変電所や送電線が近くにあっても、系統の混雑状況によっては希望する容量で接続できない場合があります。また、系統対策工事に多額の費用や長い期間が必要となることもあります。土地の契約を先行させるのではなく、候補地の選定と並行して接続条件を確認し、設備費、造成費、工事費負担金などを含めて事業性を判断しましょう。

農業委員会や関係部署との事前協議

設備計画がまとまったら、農業委員会や自治体の関係部署と事前協議を行います。必要な許認可や提出書類、申請時期などを確認し、手続き全体の流れを整理します。
事前協議を行うことで、申請内容の認識違いや不足書類を防ぎやすくなり、その後の審査を円滑に進めることができます。不明点がある場合は、この段階で確認しておくことが大切です。

農振除外・農地転用許可の申請

農業振興地域内農用地区域(青地)の場合は、必要に応じて農振除外を申請した後、農地法第4条または第5条に基づく農地転用許可を申請します。
自治体によって受付時期や審査期間は異なり、申請から許可まで数か月以上かかる場合もあります。工事開始時期を考慮し、余裕を持ったスケジュールで手続きを進めましょう。

必要な許認可の完了と工事着工

農地転用許可をはじめ、工事に必要な許認可や届出が完了したことを確認したうえで着工します。許可取得後は、許可条件に沿って工事を進めることが重要です。
工事スケジュールは、許認可の取得時期や系統連系工事の予定なども踏まえて調整すると、計画全体を円滑に進めることができます。

4. 系統用蓄電池の農地転用で注意したいポイント

農地転用許可を取得できても、事業を円滑に進めるためには、関係法令への対応や地域との調整、工事後の維持管理などもあらかじめ確認しておくことが大切です。これらを事前に把握しておくことで、手続きの遅延や追加対応を防ぎ、スムーズに事業を進めやすくなります。

関係法令への対応を確認する

蓄電池を収納する専用コンテナは、設置方法や構造によって、建築基準法上の建築物に該当するかどうかが異なります。例えば、複数のコンテナを積み重ねて設置する場合は建築物として取り扱われるため、建築確認などが必要となる可能性があります。計画段階で建築担当部署へ確認しておくと安心です。
また、2025年(令和7年)4月8日付で国土交通省より公表された「系統用蓄電池の開発許可制度上の取扱いについて(技術的助言)(国都計第7号)」では、一定の系統用蓄電池が都市計画法上の第1種特定工作物に該当し得ることが示されています。市街化調整区域へ設置する場合は、開発許可が必要となる可能性もあるため、自治体へ早めに確認しましょう。
さらに、消防法や自治体の火災予防条例についても、蓄電池の種類や容量、設備配置などによって必要な対応が異なります。土地利用計画図や設備配置図などを準備し、関係部署と協議しながら適用される法令を整理しておくことが大切です。

地域との調整を行う

自治体によっては、条例やガイドラインに基づき、地域住民への説明を求められる場合があります。特に大規模な設備を設置する場合は、工事期間中の車両の出入りや騒音、景観などについて説明を求められるケースもあります。
地域への説明を適切に行うことで、周辺住民の理解を得やすくなり、工事開始後のトラブル防止にもつながります。自治体へ事前に確認し、必要に応じて説明資料なども準備しておきましょう。

許可前の着工を避け、完了後も適切に管理する

農地転用許可をはじめ、工事に必要な許認可や届出が完了する前に、造成や設備工事へ着手しないよう注意が必要です。許可を受けずに造成や設備工事を行った場合は、違反転用として工事の停止や原状回復命令などの対象となる可能性があります。違反内容によっては、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、法人には1億円以下の罰金が科されることもあります。
また、工事完了後も設備の点検や除草、排水設備の管理などを継続して行う必要があります。土地を借りる場合は、契約期間や更新条件、設備撤去、契約終了後の原状回復、費用負担などを契約書で明確にしておくことで、将来的なトラブルを防ぐことができます。

5. よくある質問(FAQ)

Q. 系統用蓄電池の農地転用はできますか?

可能です。ただし、農地を農業以外の用途で利用するためには、原則として農地法に基づく農地転用許可が必要です。対象地が農業振興地域内の農用地区域(青地)の場合は、農地転用に先立って農振除外が必要となることもあります。

Q. 系統用蓄電池の農地転用が難しい農地はありますか?

あります。特に農業振興地域内の農用地区域(青地)は、将来にわたって農業利用を確保すべき土地として位置付けられており、原則として農地転用は認められていません。また、第1種農地は、優良農地として保全が優先されるため、原則として転用は認められていません。ただし、法令で定める例外に該当する場合は許可されることがあります。転用の可否は個別に判断されるため、事前に農業委員会へ確認しましょう。

Q. 第1種農地が転用できる例外は何ですか?

土地収用法の対象となる公共事業や、農業振興上必要な施設など、農地法で定められた例外的なケースでは転用が認められる場合があります。
系統用蓄電池への転用についても、立地条件や事業計画などを踏まえて個別に判断されます。事前に農業委員会へ相談し、転用の可否を確認しておくことが重要です。

Q. 系統用蓄電池の土地の条件はありますか?

系統用蓄電池の適地を選定する際は、設備を設置できる十分な敷地の確保に加え、一般送配電事業者との系統連系が可能かどうかを確認することが重要です。また、接道条件や造成の必要性、都市計画法上の規制、周辺環境などもあわせて確認しましょう。

Q. 農地転用の手続きにはどのくらいの期間がかかりますか?

農地法第4条・第5条許可のみの場合、標準処理期間として1〜2か月程度を示している自治体もあります。ただし、農振除外や開発許可、系統連系協議などが必要な場合は、半年から1年以上かかるケースもあります。
候補地が決まった段階で、農業委員会や自治体へ確認しておきましょう。

Q. 系統用蓄電池は特定工作物に該当しますか?

一定の条件を満たす系統用蓄電池は、都市計画法上の第1種特定工作物に該当する場合があります。該当する場合は、開発許可が必要となる可能性があるため、事前に自治体へ確認しましょう。

まとめ:系統用蓄電池の農地転用

系統用蓄電池を農地へ設置する場合は、原則として農地法に基づく農地転用許可が必要です。ただし、市街化区域内の農地など、一定の場合には届出で転用できることがあります。対象地が農用地区域内にある場合は農振除外が必要となり、計画内容によっては都市計画法に基づく開発許可や建築基準法、消防法などへの対応も必要です。
事業化の可否は、農地区分だけでなく、土地条件や設備計画、系統連系、関係法令などを総合的に確認して判断することが重要です。候補地の選定段階から農業委員会や自治体、一般送配電事業者と協議し、必要な手続きとスケジュールを整理しておくことが、円滑な事業化につながります。

系統用蓄電池の導入をご検討中の方へ
ハンファジャパンでは、候補地調査や系統連系の検討、収益シミュレーション、導入計画の策定まで、一連のプロセスを総合的にサポートしています。候補地の条件によって必要な手続きや事業化までの期間は大きく異なるため、初期段階から全体を見据えて検討することが重要です。
土地活用や系統用蓄電池の導入をご検討の際は、お気軽にご相談ください。

カテゴリー: 系統用蓄電池
タグ: 系統用蓄電池
記事一覧に戻る

お問い合わせはこちらまで

ハンファジャパン株式会社 エナジーソリューション事業部
番号 0120-322-001
受付時間 09:00~18:00
※年末年始および臨時休業日を除く。
※土日・祝日も一次受付を行います。
 ただし、お問い合わせ内容により、回答が翌営業日以降となる場合がございます。