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FITとFIPの違いとは?制度・収益・選び方まで分かりやすく解説

FIT(固定価格買取制度)とFIP(フィード・イン・プレミアム)は、再生可能エネルギーの導入を支える代表的な支援制度です。FITは一定期間、国が定めた価格で電気を買い取る制度である一方、FIPは市場で販売した電力に対してプレミアム(供給促進交付金)が交付される制度です。

2022年度にFIP制度が開始されて以降、再生可能エネルギーの市場統合が進められ、太陽光発電事業者にとっても制度選択や運用方法がこれまで以上に重要になっています。

本記事では、FITとFIPの違いや収益の仕組み、制度改正のポイントまで分かりやすく解説します。

FITとは?基本的な仕組みと特徴

FIT(固定価格買取制度)は、再生可能エネルギーで発電した電気を、国が定める価格で一定期間買い取る制度です。日本では2012年度に開始され、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの普及を支えてきました。

売電価格があらかじめ決まっているため、市場価格の変動による影響を受けにくく、長期的な収益計画を立てやすいことが特徴です。

FIT制度の対象と認定区分

FIT制度では、経済産業大臣の事業計画認定を受けた再生可能エネルギー発電設備が対象となります。事業用太陽光発電の調達期間は原則20年間です。

2026年度の地上設置型事業用太陽光発電では、10kW以上50kW未満がFIT認定の対象となります。一方、50kW以上は原則としてFIP認定の対象となり、250kW以上には入札制度が適用されます。屋根設置型には別の認定区分が設けられているため、設備容量だけでなく設置方法も確認することが重要です。

FIPとは?基本的な仕組みと特徴

出典:資源エネルギー庁「FIP制度の活用促進に向けた勉強会について」(2025年9月11日)

FIP(フィード・イン・プレミアム)制度は、再生可能エネルギーで発電した電気を市場や相対契約などで販売し、その売電収入にプレミアム(供給促進交付金)が交付される制度です。2022年度に開始され、再生可能エネルギーを市場へ統合し、自立した電源として普及させることを目的としています。

FIT制度とは異なり、売電価格は市場価格の影響を受けますが、プレミアムが交付されることで一定の事業性を確保しながら、市場価格や需給状況に応じた運用ができることが特徴です。

FIP制度の対象と運用のポイント

2026年度は、地上設置型50kW以上の事業用太陽光発電が原則としてFIP認定の対象です。発電した電気は、日本卸電力取引所(JEPX)や相対契約などを通じて販売します。

また、FIP制度では発電計画の提出や需給管理、インバランス対応など、市場取引を前提とした運用が求められます。これらの業務はアグリゲーターへ委託することも可能です。

プレミアムの仕組み

FIP制度では、市場での売電収入にプレミアム(供給促進交付金)が加算されます。市場価格とプレミアムを組み合わせることで、一定の事業性を確保する仕組みです。

▶FIP制度の仕組みやメリット、導入時のポイントについて詳しく知りたい方は、「FIP制度とは?初心者にもわかる仕組みと導入のポイント」もあわせてご覧ください。

FITとFIPの違い

FITは、収益の予測しやすさと運用負担の軽さに強みがあります。一方、FIPは市場価格や相対契約、蓄電池を活用できる反面、運用コストや市場変動リスクも考慮する必要があります。

制度名だけで有利・不利を判断するのではなく、設備条件や事業方針、運用体制、実際の手取り収益を比較したうえで選択することが大切です。

項目 FIT FIP
売電方法 認定時に決定した価格で売電 市場・相対契約などを通じて売電
支援の仕組み 固定価格による買取 売電収入にプレミアムを加算
収益の特徴 市場価格の影響を受けにくく、予測しやすい 市場価格や契約条件、運用方法によって変動
売電先の確保 原則として自ら確保する必要はない 市場・小売電気事業者・アグリゲーター等を通じて確保
発電計画・需給管理 発電事業者自身の負担は比較的小さい 発電計画の作成・提出や需給管理が必要
インバランス対応 発電事業者が直接負担する責任は通常ない 対応が必要。アグリゲーター等への委託も可能
蓄電池の活用 自家消費や非常用電源などに活用可能 売電時間の調整や出力制御対策に活用しやすい
向いている事業者 収益の安定性と運用負担の軽さを重視する事業者 市場取引や蓄電池を活用し、収益機会を広げたい事業者

売電価格・収益の違い

FITとFIPでは、収益の考え方が大きく異なります。

FIT制度では、認定時に決定した調達価格で一定期間売電できるため、市場価格が変動しても売電単価は変わりません。そのため、長期的な収益予測を立てやすく、設備投資の回収計画も策定しやすい制度です。

一方、FIP制度では市場価格で電力を販売するため、売電収入は市場価格の影響を受けます。ただし、市場での売電収入にプレミアムが加わることで、一定の事業性を確保する仕組みとなっています。

また、FIP制度では発電量だけでなく、「いつ売るか」も収益を左右する要素になります。蓄電池を活用したタイムシフト運用や、市場価格を踏まえた売電計画によって、収益性の向上が期待できる場合があります。

市場取引・プレミアム・インバランス責任の違い

FIT制度では、発電した電気が固定価格で買い取られるため、発電事業者が自ら市場で売電する必要はありません。また、インバランス責任も原則として発電事業者には課されないため、運用面の負担は比較的小さい制度です。

一方、FIP制度では、市場や相対契約を通じて電力を販売するため、発電計画に基づいた需給管理が求められます。計画値と実績値に差が生じた場合には、インバランス料金が発生する可能性があるため、発電予測の精度や運用体制が収益にも影響します。

こうした市場取引や需給管理を効率的に行うため、多くの発電事業者がアグリゲーターを活用しています。専門事業者へ委託することで、運用負担を軽減しながらFIP制度を利用することができます。

FIP転換前に押さえたいアグリゲーターの選び方

出典:資源エネルギー庁「FIP制度に関する政策措置について」(2024年9月30日)

アグリゲーターとは、発電事業者に代わって発電予測や市場取引、需給管理、インバランス対応などを行う事業者です。FIP制度では市場を前提とした運用が必要になるため、多くの発電事業者がアグリゲーターと契約して運用を行っています。

委託先を選ぶ際は、手数料だけで判断するのではなく、発電予測の精度や市場取引の実績、インバランス費用の負担範囲、売電収益やプレミアムの精算方法なども確認することが重要です。契約内容によって収益性や運用コストが変わるため、複数社を比較したうえで選定するとよいでしょう。

また、蓄電池を導入する予定がある場合は、タイムシフト運用や出力制御への対応実績も確認しておくことをおすすめします。自社設備に適した運用体制を構築できるかどうかが、長期的な収益にも大きく影響します。

アグリゲーションサービスについて詳しく知りたい方へ

FIP制度では、蓄電池を活用した運用や市場取引を効率的に行うために、アグリゲーションサービスの活用も選択肢の一つです。

Q.ENESTでは、高圧1拠点から利用可能な蓄電池アグリゲーションサービスを提供しています。

FIT・FIP制度を取り巻く主な変更

出典:資源エネルギー庁「FIP制度に関する政策措置について」(2024年9月30日)

FITからFIPへ制度移行

これまでFIT制度は、固定価格による買取を通じて再生可能エネルギーの普及を支えてきました。

一方、導入量の増加に伴い、今後は電力需要や市場価格を踏まえた発電・売電がより重要になります。そのため国は、固定価格で支援するFIT制度から、市場取引を前提とするFIP制度へ段階的に移行する方針を進めています。

こうした方針を受け、新設設備の認定区分や出力制御ルールなども見直されており、今後もFIP制度を中心とした制度整備が進むと考えられます。

優先給電ルールにおける「出力制御順」の見直し

再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、電力需給のバランスを維持するため、全国で出力制御が実施される機会が増えています。こうした状況を踏まえ、国では優先給電ルールにおける出力制御順の見直しを進めています。

現在は、FIT電源を先に制御し、その後にFIP電源を制御する方向で制度整備が進められており、システム改修などの準備が整ったエリアから順次適用される予定です。この見直しにより、FIP電源はFIT電源よりも後に出力制御されることになります。

ただし、FIP制度へ移行した場合でも、需給状況によっては出力制御の対象となります。制度改正だけで判断するのではなく、地域ごとの出力制御実績や市場価格、設備構成なども踏まえて総合的に検討することが重要です。

2027年度以降の制度方針

資源エネルギー庁は、2027年度以降、地上設置型事業用太陽光発電に対するFIT・FIP制度による新規価格支援を原則終了する方針を示しています。これは、再生可能エネルギーの導入拡大を踏まえ、市場で自立した電源として運用することを目指した制度見直しです。

一方で、2026年度までに認定を受けた案件や、2026年度の入札で落札した案件などについては、一定の条件のもとで制度が継続されます。そのため、既存設備が直ちに制度対象外となるわけではありません。

今後、新たに事業用太陽光発電を導入する場合は、FIT・FIP制度だけでなく、自家消費やPPA、蓄電池の活用なども含めた長期的な事業計画を検討することが重要になります。

FIP転換とあわせて検討したい蓄電池の活用

FIP制度では、市場価格や需給状況を踏まえた売電方法が収益に影響します。そのため、近年はFIPへの転換とあわせて、太陽光発電と蓄電池を組み合わせた運用への関心が高まっています。

蓄電池を活用することで、売電時間の調整や出力制御時の電力活用など、より柔軟な運用が可能になります。ただし、導入効果は設備条件や市場環境によって異なるため、事前に収益シミュレーションを行うことが大切です。

太陽光併設型蓄電池のメリット

太陽光発電設備に蓄電池を併設すると、発電した電力を一時的に蓄え、市場価格が高い時間帯に売電するタイムシフト運用が可能になります。

また、出力制御が実施された場合でも、設備や運用条件によっては、発電した電力を蓄電池へ充電し、後から売電または利用することで、売電機会の損失を抑えられる可能性があります。

一方、蓄電池の導入効果は、設備容量や発電パターン、市場価格の動向、出力制御の発生状況などによって異なります。導入前には、設備費用と期待できる収益改善効果を比較し、自社設備に適した容量や運用方法を検討する必要があります。

注目が高まる系統用蓄電池

近年は、太陽光発電設備に併設する蓄電池に加え、電力系統へ直接接続する「系統用蓄電池」への注目も高まっています。系統用蓄電池は、市場価格や電力の需給状況に応じて充放電を行い、電力市場や需給調整市場などを通じて収益を得る事業です。

太陽光発電設備とは独立して運用されますが、市場価格や需給状況を踏まえて収益機会を生み出すという点では、FIP制度と共通する考え方があります。再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、電力の需給調整を担う設備としても、今後さらに重要性が高まると考えられます。

太陽光発電設備への蓄電池併設と系統用蓄電池では、事業目的や収益構造、必要な設備構成が異なります。それぞれの特徴を理解したうえで、自社の事業計画に適した方法を検討することが大切です。

よくある質問(FAQ)

Q. FITとFIPのどちらが得ですか?

一概にどちらが有利とはいえません。FITは固定価格で売電できるため収益を見通しやすい制度です。一方、FIPは市場価格や蓄電池の活用方法によって、より高い収益を目指せる可能性があります。ただし、FIPでは発電予測やインバランス対応、アグリゲーターへの委託費用、蓄電池の導入・運用コストなども考慮する必要があります。

Q. FITからFIPへ切り替えると何が変わりますか?

FITでは固定価格で電力を売電しますが、FIPでは市場や相対契約で販売した電力の売電収入にプレミアム(供給促進交付金)が上乗せされる仕組みになります。また、FIPでは市場取引に加え、発電計画と実績の差によって発生するインバランスへの対応も必要になります。

Q. FIPと非FIT(卒FIT)の違いは何ですか?

FIPでは、市場などでの売電収入に加えてプレミアムが交付されます。一方、非FIT(卒FIT)は、FIT・FIPいずれの支援制度も適用されないため、プレミアムは交付されません。売電収入は市場価格や相対契約、PPAなどの契約条件によって決まります。

Q. FITからFIPに移行する理由は何ですか?

再生可能エネルギーを固定価格による支援から市場連動型の仕組みへ移行し、電力需要や市場価格に応じた発電・売電を促すためです。国は、再生可能エネルギーの市場統合と将来的な自立化を目指し、FIP制度への移行を段階的に進めています。

Q. FIPに移行すれば出力制御を回避できますか?

完全に回避できるわけではありません。現在は、FIT電源を先に制御し、その後にFIP電源を制御する方向で制度の見直しが進められていますが、需給状況によってはFIP電源も出力制御の対象となります。そのため、FIPへの移行を検討する際は、発電所の所在地や過去の出力制御実績なども踏まえて判断することが重要です。

まとめ

FIT制度は、一定期間固定価格で売電できるため、収益を見込みやすいことが大きな特徴です。一方、FIP制度は市場価格を活用した売電にプレミアムが交付される仕組みであり、売電方法や運用次第で収益向上を目指せる制度です。

近年は、再生可能エネルギーの市場統合を進めるため、認定区分の見直しや出力制御ルールの変更など、FIP制度を中心とした制度整備が進められています。今後は、設備規模や事業方針に応じてFITとFIPを適切に選択し、市場環境も踏まえた運用を行うことが重要になります。

また、FIP制度では蓄電池やアグリゲーターを活用することで、市場価格を意識した柔軟な運用が可能になります。制度の違いを正しく理解し、自社の設備や事業計画に適した運用方法を選択することが、長期的な収益確保につながるでしょう。

FIT制度からFIP制度への移行や、新規の太陽光発電設備・蓄電池の導入を検討する際は、制度だけでなく設備構成や収益性まで含めて総合的に判断することが重要です。

ハンファジャパンでは、太陽光発電システムや蓄電池に関する豊富な知見をもとに、お客様の設備規模や事業計画に合わせた最適なソリューションをご提案しています。FIT・FIP制度に関するご相談から設備導入まで、お気軽にお問い合わせください。

カテゴリー: その他
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